
小さな動物病院だからこそ伝えたい「独自の価値」

これまでの動物病院では、獣医師としての技術を磨くことがそのまま病院の信頼につながってきたのではないでしょうか。
もちろん、今でも技術は動物病院にとって大切な価値です。
一方で、動物病院を取り巻く環境が変わっており、技術以外にも飼い主さんから選ばれる理由を考えることが大切になってきています。
そこで今回は、小さな動物病院が持っている「独自の価値」について考えてみたいと思います。
動物病院の“独自の価値”が大切になる
最近は、犬の飼育頭数の減少や動物病院で働く人の不足、動物病院のM&Aなど、小動物医療の世界が大きく変わってきました。
すがわ近所の動物病院も長年、個人経営だったのですが、いつの間にかグループ会社に統合されていて、時代の変化を感じました。
小規模な動物病院がこれからも地域で選ばれ続けるには、それぞれの動物病院が強みを見つけ、個性を出していくことが大事になっていくと考えています。
個性を出すとは、専門診療を新たに始めたり、大きな設備投資をしたりすることだけではありません。
すでに貴院が持っているものを、外からも分かるようにする取り組みをコラムの後半でご紹介します。
動物病院を取り巻く環境変化
動物病院が独自の価値を伝えることが大切と考える理由をお伝えします。
以下は、犬猫の飼育頭数と小動物診療をしている病院の数をグラフにしたものです。


出典:農林水産省「飼育動物診療施設の開設届出状況」、一般社団法人ペットフード協会「全国犬猫飼育実態調査2025」をもとに作成
特集【動物病院でM&A・事業承継が注目される理由と時代背景】に掲載されているグラフを参考にしました。
グラフを見ると動物病院が増える一方、犬猫の飼育頭数は減少しており、1病院あたりの犬猫数が減っています。
2016年と比較すると、2025年は1軒あたりの平均犬猫頭数が約14%(約200頭)減少しています。
競争が激しくなるという意見もありますが、棲み分けの時代と考えることができるかもしれません。
それぞれの動物病院の“独自の価値”を伝え、飼い主さんは自分に合った動物病院を選ぶということです。
ここまで環境の変化を見てきました。
次に、飼い主さんのニーズが分かる調査結果をご紹介します。
飼い主さんが動物病院を選ぶときに
大切にしていること
飼い主さんは動物病院を選ぶときに、何を重視しているでしょうか。
2025年に行われた調査(ペットを飼っている方525名が対象)では動物病院選びの決め手は「獣医師の信頼性(42.3%)」とその他に「通いやすさ(場所・時間)」(21.5%)や「費用の分かりやすさ」(18.7%)が挙げられています。
私が2026年夏にGoogleビジネスプロフィールの口コミを調べたところ、
- スタッフの対応がいい
- 獣医師の診察や説明が良い
と書いている飼い主さんがとても多かったです。
飼い主さんは、獣医師だけでなく、看護師や受付のスタッフの印象で病院の雰囲気の良さを感じとっているようでした。
院内の仲の良さが強みの源泉になる
ここで、動物病院が持っている「独自の価値」とはどんなものかを具体的に考えたいと思います。
先ほどの口コミの結果を見ると、獣医師だけでなく、看護師や受付スタッフについての好意的な声が多く見られました。
病院の雰囲気は、診療技術だけでなく、スタッフ一人ひとりの日々の対応や、スタッフ同士の関係からも作られていると考えられます。
例えば、「うちの病院はスタッフ同士の仲がいい」と感じている病院があったら、それは他の動物病院と比べた時の強みになります。
私の話で恐縮ですが、10年以上前に働いていた動物病院を思い出すと、仕事が忙しすぎて、どうしても人間関係がギスギスしやすかった記憶があります。
今は状況が変わっていると思うのですが。
もし貴院の状況が以下のようだったら、
- 院長がスタッフを大事にしている。
- スタッフの教育に力を入れている。
- スタッフ同士の仲がよく、院内の雰囲気がいい。
強みを活かして、対外的に自院の良さを伝えるチャンスです。
院長がスタッフを大事にしていると…
→スタッフの定着率が高くなり、病院に愛着のあるスタッフが増える。
飼い主さんと長く働いているスタッフとの間に信頼関係が生まれ、安心して通院してもらえる。
対外的に伝えられること
長く働いているスタッフに自院の良さを聞いてみると良いでしょう。
それらの情報を元にHPやブログ、SNSで発信していくことができます。
スタッフの教育に力を入れていると…
→一人一人の専門性が高くなると、飼い主さんに還元できることが増え、満足度が高まる。
「成長したい」意欲のあるスタッフが集まりやすくなるため、採用にも有利に働き、好循環が生まれる。
対外的に伝えられること
スタッフを募集するときに、教育内容を具体的に伝えると良いでしょう。
できたら、教育を受けたスタッフの感想も一緒に紹介するのがおすすめです。
仲がよく、院内の雰囲気がいいと…
→思っていることを他者に安心して伝えられる環境が整っている。
意思疎通がしやすくなるので、小さな問題を早期に相談し合えるので、問題解決が早い。
チームワークがあることで、診療がスムーズに進む。
院内の雰囲気の良さは飼い主さんにも自然に伝わるので居心地が良いと感じてもらいやすい。
対外的に伝えられること
普段の診療の様子を写真や動画で紹介すると、雰囲気が伝わりやすくなります。



百聞は一見に如かず、ですね
飼い主さんの視点で貴院の良さを見つける
この他にも飼い主さんが貴院を選ぶ理由は、細かく観察していくと見つけることができます。
そして、自院の良さは見つけることができると、飼い主さんに向けて技術力以外の価値を伝えられるようになります。
環境の変化が激しいですが、小規模な動物病院が持っている“独自の価値”を伝えることは病院と飼い主さんの双方にとってプラスに働くと考えています。
以下のコラムでは、「動物病院らしさ」について書いています。
貴院の「らしさ」を見つけるヒントになったら嬉しいです^^



